高齢者のセルフネグレクト

高齢者に関する社会問題のひとつに、セルフネグレクトがあります。
これは、自己管理ができないことで生活環境や身体状況が悪化している状態を指し、自分自身を大切にしないことからセルフネグレクト(=自己放任)と呼ばれているのです。
放置すると社会的な孤立から、孤独死を招く要因ともなりかねません。
今回はセルフネグレクトの原因や症状、改善の仕方などを解説していきます。

セルフネグレクトの特徴

セルフネグレクトになると、自身の生活における衛生面や健康行動に対して放任となります。
本来介護してもらうべき人自身が、介護を受けることを拒んでしまう状態ともいえます。
代表的な例として「ごみ屋敷」の居住者がよく挙げられます。
家が不潔で荒れていることで、火災の危険や公衆衛生の侵害など本人だけの問題で済まないケースも多々ありますので、遠く離れて暮らしている親族の中にもしかして?と思う方がいれば早めに対処が必要です。
セルフネグレクトによく見られる特徴は以下の項目です。

・住環境が不衛生
・価値がないものや使えないものでも入手してしまう
・ガラクタをため込んでしまい、捨てることができない
・行政サービスの拒否(介護、病院など)
・不健康な栄養状態

セルフネグレクトの要因

様々な要因があり一概に決めつけることはできませんが、以下のような状況に当てはまる方はセルフネグレクトになりやすい傾向があるようです。

✅身近に頼れる人がいない、本人のみの世帯で独居
家族や友人、ご近所の付き合いが希薄で、社会的に孤立した状態の高齢者はセルフネグレクトになりやすいと言われています。また、身近に家族がいたとしても、自ら拒否をして周りを頼ろうとしない性格の方は、注意が必要です。

✅認知症を患っている
認知機能の低下により、適切な判断力も低下し、生活環境悪化に対しての自覚がなくなってしまいます。認知症の症状の中には「収集癖」「不潔行為」「倦怠感」といった症状もあり、これらが複合して現れることでセルフネグレクトに繋がります。

✅経済的困窮
経済的な事情で食事をしっかりとれない、風呂に入らない、といった生活習慣が当たり前になってしまうと、不衛生な環境になれてしまいます。また、医療保険に未加入の方も多く、病院へ行く選択を持たないことで心身ともに不健康な状態になるリスクが高いのです。

✅精神的に大きなダメージを負った
配偶者や家族との死別、病気の発覚といった精神的なダメージによってセルフネグレクトになることもあります。
今までは誰かのためにやっていた料理や家事も、自分のためにやると思うとやる気が起こらない、孤独感が増して自身の生活に興味関心がなくなる、といったケースです。
精神疾患の疑いもありますから、適切な治療が必要です。

改善策は?

セルフネグレクトに陥った要因は人それぞれ異なりますので状況次第ですが、まずは本人の想いを傾聴することが重要です。
行動を咎めたり、否定すると、余計にこじれてしまいます。
セルフネグレクトと、本人の「放っておいてほしい」「なにも困っていることはない」といった拒否やプライバシーの権利を区別することは難しい問題ですが、まずは周りの人が気付いてあげることで解決の糸口につながります。
家の中の状況は見えにくく介入が難しくとも、新聞や郵便物が溜まっていることに気付いた近所の人が役所に連絡して発覚したケースもあります。
介護保険や、医療、生活保護などの公的支援は、基本的に必要な人が自発的に求めなければ支援を受けられない「申請主義」となっていることから、声を上げない人、上げられない人ほど、支援が遅れてしまうのです。
このように、社会的孤立がセルフネグレクトを加速させてしまうため、前段階でそういった環境を作らないように家族間のコミュニケーションをとったり、地域で連携して高齢者世帯を見守っていく取り組みが大切です。

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