高齢者が餅を喉に詰まらせやすいのはなぜ!?

2021.01.12

毎年お正月になると耳にすることが増える、高齢者の餅による窒息死のニュース。今年の年始も残念ながら餅を喉に詰まらせて死亡する事故が起きてしまいました。
今回のあすてる通信では餅の窒息死に関連し、「嚥下(えんげ)」機能についてお話します。

「嚥下」とは?

嚥下とは、食べ物を口に取り込み、歯で噛んで飲み込み、胃に運ぶ一連の過程をいいます。健康な人であれば意識しなくとも物を飲み込むことができますが、脳や神経に障害がある方や高齢者の場合、筋力や反射神経の低下によって嚥下がうまくできないことがあります。

この一連の飲み込む過程が正常に機能しなくなった状態を「嚥下障害」といい、嚥下障害が引き起こす疾病に「誤嚥性肺炎」というものがあります。

「誤嚥性肺炎とは?」

通常、食べ物などが喉を通るときは、気管が閉じていて侵入を防いでいます。しかし嚥下障害があると、この機能がうまく働かず、食べ物や唾液、胃の逆流物が気管に入ってきてしまうことがあり、これを「誤嚥」といいます。
誤嚥によって気管に入ってしまった食べ物や唾液が、肺に入り細菌が繁殖して炎症を起こすことで引き起こされる疾病が「誤嚥性肺炎」です。

若い方には馴染みのない病気かと思いますが、2016年の日本人の死因第3位は「肺炎」となっており、そのうち97%が65歳以上の高齢者で、誤嚥性肺炎も多く含まれています。2017年以降は、肺炎は死因第5位になっていますが、決して甘く見てはいけない、高齢者にとっては命を落とす危険性もある疾病です。
死に至らなくとも、誤嚥性肺炎で入院すると、絶食、安静を強いられ、その結果身体の機能が衰え、寝たきりになってしまったり元通りの生活を送ることが困難になってしまいます。
あすてるへのご相談でも誤嚥性肺炎で入院し、その後はご自宅での生活が難しくなり、施設入居のご相談をいただいたことがあります。

誤嚥性肺炎の予防法は?

・食事中は姿勢を正して、ゆっくりよく噛んで食べることに意識を集中させること
・口腔内が清潔に保たれていないと肺炎の原因となる細菌が繁殖しやすくなるので、食後の歯磨きなど口腔ケアも重要
・免疫力を高めるためにバランスの良い食事をとること
・咀嚼と嚥下の機能を回復させるためのトレーニングや自分でもできるマッサージを行う
・逆流を防ぐため、食後はすぐに横にならないこと

死に至る怖い疾病でありながらも、本人や介護する方の意識やケア次第で防ぐことができるので、トレーニングやマッサージは楽しみながら日常生活に取り込めるといいですよね。

嚥下能力の低下した高齢者にとって「餅」は、噛みきりにくい上に付着性があり、誤嚥しやすい食べ物の代表格です。
餅をのどに詰まらせにくくする方法として、あらかじめ小さく切り飲み込みやすくすること、茶や水などの水分とともに摂取すること、などが挙げられますが、少しでも不安のある高齢者は「餅を食べない」という選択をすることも大事です。
おめでたいお正月に、餅を喉に詰まらせて亡くなる高齢者が一人もいなくなることを願うばかりです。

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