日本人の主要死亡原因とは?:健康管理の重要性を考えよう
日本は長寿国として知られていますが、寿命の延びと共にさまざまな健康リスクが浮かび上がってきています。現代の日本人にとって、どのような病気や原因が命を脅かしているのでしょうか?
今回は最新の統計データをもとに、日本人の主要な死亡原因トップ5を紹介し、それぞれの背景や予防策につい解説します。健康な生活を維持するためには、これらのリスクを正しく理解し、適切な対策を講じるための参考にしてくださいね。
日本人の死亡原因上位の疾病とは?
全年齢、性別の総数でみる死因1位は「悪性新生物」、2位は「心疾患」、3位は「脳血管疾患」、4位は「肺炎」、5位は「老衰」となっています。
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
悪性新生物
悪性新生物とは、いわゆる「がん」のことで、正常な細胞の遺伝子が傷つけられ、異常な細胞が増殖し、周囲の組織を侵食する病気です。
40代から80代まで、ほとんどの年齢層でこの悪性新生物が死因の1位となっています。
悪性新生物は、通常の細胞と比べて増殖が異常に早く、周囲の組織を侵食することがあります。また、通常の細胞と比べて結合が弱いため、血管やリンパ管に流れやすく、血管などを介してほかの臓器へ転移しやすい性質も持っています。
現在がん治療の主流となっているのは手術療法や抗がん剤による化学療法です。しかしこれらの治療は身体に負担をかけてしまうため、余病への懸念や、体力低下が著しい後期高齢者については、積極的な治療をおこなわないことも多く、死亡率の高さに結び付いている可能性が考えられます。
がんの予防には、健康的な生活習慣の維持が重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、適度な飲酒、体重管理、定期的な検診、環境要因への注意、適切なワクチン接種など、多角的なアプローチが必要となります。
心疾患
心疾患とは、心臓に起きる疾病の総称です。
何らかの原因によって心臓の働きに異常が起こり、血液循環が上手くいかなくなることで発症します。代表的なものに虚血性心疾患・不整脈・心臓弁膜症・心不全などがあります。
心臓は絶えず毎日全身に血液を送るポンプの役割をしていますが、加齢に伴ってこの心臓という臓器も老化し、病気にかかりやすくなることは生理的な変化ですので避けることができません。
心疾患の症状には、胸部痛、息切れ、めまい、吐き気などが考えられます。リスク要因には、高血圧、高コレステロール、喫煙、肥満、運動不足、ストレスなどが挙げられます。
高血圧や糖尿病といった生活習慣病とも深いかかわりがありますので、その予防には適度な運動やバランスの取れた食生活が推奨されます。
脳血管疾患
脳血管の異常が原因で起こる、脳・神経の疾患の総称です。
脳血管疾患の原因は大きく分けると「脳梗塞」と「脳出血」があります。
脳梗塞は、脳の血管が動脈硬化によって詰まったり、心臓の中でできた血栓が血流に乗って脳まで届き、脳の血管を詰まらせて起こる疾病です。
脳出血は、脳内の血管が何らかの原因で破れて起こります。
脳に損傷が起こると、体の半分が動かせなくなる、動かしにくくなるといった後遺症が現れることも懸念されます。
この他、認知機能や記憶機能、言語機能などが低下することもあり、これらは高次脳機能障害と呼ばれます。脳血管疾患に由来して認知症を発症する症例も少なくありません。
リスク要因には、高血圧、高コレステロール、糖尿病、喫煙、肥満、運動不足、飲酒などがあります。健康的な食生活を心がけ、塩分や脂肪の摂取量を制限しましょう。
肺炎
高齢になるほど、肺炎での死亡リスクが高まります。
肺炎には、誤嚥性肺炎、間質性肺炎、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎などさまざまな種類があります。
体力も衰えている高齢者は、ちょっとした肺炎でも免疫力が低下して死にいたることがあるのです。
高齢者が肺炎にかかりやすい要因として、免疫力の低下や基礎疾患の存在、介護施設など集団生活により感染が広がりやすい環境にあることなどが挙げられます。
肺炎の症状は発熱や寒気のほか、血が混ざった痰や咳、呼吸困難や胸痛、嘔吐や下痢(特に高齢者では一般的な症状)、意識の混濁(高齢者ではこの症状が先行することがあります)などが見られます。
肺炎を予防するためにも、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンを定期的に接種することで感染症から身を守る、頻繁な手洗いによって清潔な環境を保つ、バランスの取れた食事、適度な運動、喫煙や過度の飲酒を避ける、といった行動が肺炎予防に役立ちます。
高齢者は肺炎に罹患しやすく、その合併症は重篤です。ですが、適切な予防策や早期の治療により、肺炎のリスクを軽減することが可能です。身近な医療機関や医師に相談し、健康管理に努めましょう。
老衰
老衰(Senility)とは、加齢により脳を含めた全臓器・細胞の力がバランスを保ちながらゆっくり命が続かなくなるレベルまで低下していき、最後に下顎呼吸後に死亡することを指します。生物学的および医学的には、「加齢による老化に伴って、個体を形成する細胞や組織の能力が低下すること」とされています。多臓器不全により恒常性の維持や生命活動の維持ができなくなることが原因となっています。
老衰の前兆には、身体機能の低下や食事量・体重の減少、睡眠時間の増加があります。身体機能が低下し、筋力や握力が減少したり、歩行速度が遅くなったりすることがあります。食事量が減少し、食べ物を飲み込む嚥下機能が衰えるため、食事が億劫になる高齢者も多いです。体重も減少し、食べ物を分解・吸収する消化機能が低下することで、体重が減少します。また、睡眠時間が増加し、日中も眠くなりやすくなります。老衰に向かいつつある本人は、大きな苦痛を感じることは少ないといわれています。
老衰死は、一般的には平均寿命を超えた年齢で自然死した場合に用いられます。医師によって意見がわかれることもありますが、厚生労働省の「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」では、「死因としての『老衰』は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ」と定義されています。高齢化社会が進む現代では、老衰死が年々増加しており、死因第3位に位置しています3。
老衰で亡くなる方は、身体機能の低下や食事量の減少、体重の減少、睡眠時間の増加などの症状を経て、最終的には自然な死を迎えることとなります。 老衰について理解することで、家族がより安らかで充実した最期を迎えられるかもしれません。
まとめ
命あるものはいつか必ずその生涯を閉じるときが来ます。疾病に対する知識を身に着けておくことは、少しでも元気でいられる時間を増やすことにつながるかもしれません。
今回紹介した疾病も、誰しもがかかりうるものばかりです。
特に高齢者は小さな疾病から命の危機を脅かす合併症を引き起こすこともあります。
日々の生活を健康に過ごせるよう、食生活や運動の頻度などを意識してみましょう。