自覚症状がないから怖い!「高血圧症」
2019 年の「国民生活基礎調査」によると、病院に通院している人の疾患で一番多いのが「高血圧症」です。「国民生活基礎調査」というのは、国民の健康、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的な事柄について調査することを目的として、1986年(昭和61年)から厚生労働省が保健所・福祉事務所を経由して、調査員調査により実施しています。
(2020年についてはコロナウィルス感染症の対応等の観点から中止となっています。)
実際、あすてるへご相談にいらっしゃる高齢者の方も、高血圧で服薬されている方が非常に多く、年齢と共に身近な病気であると感じます。
今回はそんな「高血圧症」について、原因と予防法を見ていきたいと思います。
血圧とは?
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことです。血圧の高さは心臓が血液を押し出す力と血管の拡張で決まり、血液が血管の壁を押す力が強くなるほど高くなります。
心臓は、収縮と拡張を繰り返して血液を送り出しており、心臓の収縮により動脈の血圧が最高に達した時の値が「収縮期血圧(最高血圧)」、心臓の拡張により最低に達した時の値が「拡張期血圧(最低血圧)」です。
高血圧とは?
最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mHg以上の時に「高血圧」と診断され、一時的な上昇ではなく、医療機関で繰り返し測定しても慢性的に血圧が高い状態が続いていることを「高血圧症」といいます。
(mmHgは、日本語では「ミリメートル水銀柱」または「ミリメートルエイチジー」と読みます。)
高血圧症の原因は?
高血圧症には2種類あります。
【本能性高血圧症】
遺伝的な因子や生活習慣、加齢など様々な要因が加わって発症します。高血圧症の90%は本能性高血圧症です。主な原因は以下のようなものがあります。
・肥満
・運動不足
・過剰飲酒
・過剰な塩分摂取
・ストレス
・喫煙
【二次性高血圧症】
腎臓疾患や内分泌異常、心臓や血管の異常など、体の中に血圧上昇の原因となる病気があるときは二次性高血圧症と呼びます。内服薬や原因部位に対する手術・放射線療法などがあります。
高血圧から起こる病気は?
高血圧状態が続くと、本来弾力性がある血管の壁が常に張り詰めた状態に置かれ、動脈は次第に厚く、硬くなり、血管の内径が狭くなります。その結果、動脈硬化を進行させ、狭心症・心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患の他、大動脈瘤、慢性腎臓炎、眼底出血などのリスクを高めます。
高血圧を予防するために
高血圧の原因の多くは、生活習慣を改善することで減らすことができます。
①塩分は控えめに
②タバコをやめる
③コレステロールを摂り過ぎない
④野菜や果物を積極的にとる
⑤青魚など魚を積極的にとる
⑥お酒は適量を
⑦適度な運動をする
⑧急激な温度差に気を付ける
⑨ストレスをためず十分な睡眠をとる
⑩肥満を解消する
高血圧症の怖いところは、高血圧そのものに自覚症状がないところです。そのため、そのまま放置してしまう人も少なくありません。しかし、治療せずに放置していると命に関わる重大な病気を引き起こします。高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれるゆえんはここにあります。
高血圧をあまく見ず日常生活を工夫して、血圧を下げる努力をしましょう。
また、自宅で血圧を測る習慣をつけることも重要で、病院での診断や早期治療に役立つし、合併症の予防や健康維持の意識向上につながります。
ぜひ上に挙げた生活習慣の中から、すぐにでもできることから始めてみましょう。