要注意!寝たきり介護の要因ともなる高齢者の骨折

更新日:2024.04.18

高齢になると増えてしまうのが「骨折」です。いちど骨折を起こすと長期間の安静によって、「寝たきり」になる可能性もあり、介護が必要になった主な原因の上位にもよく挙がっています。
今回はそんな高齢者に多い骨折の原因と予防について解説していきます。

高齢になるとなぜ骨折が増える?

まず一つ目に、骨粗しょう症によって骨そのものの強度が落ちてしまうことが挙げられます。
骨粗しょう症とは、骨の強度が低下して骨折しやすくなる骨の病気です。
加齢によって骨密度が低下する要因には、女性ホルモンの分泌量減少に加えて腸管でのカルシウム吸収が悪くなったり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを作る働きが弱くなるといった理由があります。

日本における骨粗しょう症の有病者数は約1300万人、そのうち女性だけで約1000万人ともいわれています。しかし病院への受診率は低く、治療をうけている方は全体の約20%にとどまります。
骨粗しょう症は、骨折するまでは症状が出ず、足音のない病気です。
いまの骨の状態を知り、骨粗しょう症の疑いがある場合は治療をはじめることが重要です。
また骨折を伴う骨粗しょう症と診断された場合は特定疾病とみなされます。
40~64歳でも骨粗しょう症と診断された場合は「2号保険者」として、介護保険が適用され、要介護認定の対象となります。

二つ目に、筋力の低下が考えられます。
人間は60歳を過ぎると筋肉量の減少が加速するといわれています。
特に太ももを持ち上げる腸腰筋(ちょうようきん)の減少によって、歩行時の足の動きが鈍くなったり、つまずきやすくなってしまいます。

三つ目に、栄養不足で皮下脂肪が菲薄化(ひはくか)することが挙げられます。
こちらも加齢に伴って皮膚を形成する表皮、真皮、皮下組織の菲薄化が起きます。そして、皮下脂肪の減少により、転倒時に骨を守るクッション機能が働かなくなり、骨折しやすくなってしまうのです。

高齢者に多い4つの骨折とは?

1. 大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ)
太ももの付け根や股関節の骨折で、転倒などをきっかけに折れてしまうことが多いです。この部分を骨折することで長期間の安静が必要となり、筋力低下・認知症・肺炎・褥瘡(じょくそう)などを発症し寝たきりになってしまう可能性も高くなってしまいます。

2. 脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)
こちらは背骨の骨折です。尻もちをついたときなどに折れてしまうことがあります。骨粗しょう症の進行によって、くしゃみやせきといった普段の生活動作のわずかな衝撃でも起こることがあり、「いつのまにか骨折」と言われることもあります。

3. 上腕骨近位部骨折(じょうわんこつきんいぶこっせつ)
腕の付け根の骨折です。転倒の際に肩を直接打ったり、肘や手をついた時に起こります。

4. 橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
手首の骨折です。転んで手をついた時などによく起こります。

骨折しにくい体を作ろう

上記の骨折原因や骨折の部位を見ると、「骨粗しょう症の予防と治療」、「転倒の予防」が大事であるとわかります。

そのためには歩行運動を積極的におこなうことが有効です。
厚生労働省の示す目標では、70歳以上の高齢者でも1日の歩行数を男性なら6,700歩、女性5,900歩以上と設定しています。
朝起きたらまず万歩計を付けて数値化してみると目標達成が分かりやすくなりますね。
また、カルシウムやタンパク質を意識した食生活を心がけること、そしてカルシウムの吸収を高めるビタミンDを生成するため、日光に当たることも重要です。

骨密度は貯金のようなもので、若い間(およそ20~44歳くらいまで)に貯めた骨量は年齢とともに少しずつ減っていき、増えることはありません。

若い方は将来のために少しでも健康な体を維持する対策を、すでに高齢の方は自分の骨の現状を知り、無理のない範囲の歩行運動や転倒をしないために服装や環境の工夫を心がけましょう。

この記事は、2024年04月18日に更新されました。
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