猛暑注意!高齢者と熱中症

温暖化が深刻な昨今、毎年のように平均気温の最高値記録を更新するような暑い日が続きますね。
特に猛暑となった2010年や2018年には1500人以上が熱中症で命を落としたそうです。そしてそのうち約8割の方が65歳以上でした。救急搬送で助かった方を含めるとさらに多くの方が熱中症にかかっています。
今回は高齢者が熱中症にかかりやすい理由と、その対策について解説していきます。

高齢者が熱中症になりやすい理由

1つ目に高齢者は暑さを感じにくいことが挙げられます。
通常は外気温の上昇に伴って体温が上がることで、熱いと感じた体は汗をかくことで体温を下げようと自然に機能します。
しかし、高齢になるとこの体温調節の機能が低下してしまうのです。
そのため、体温の上昇に対してうまく体が対応できず、体温を下げることが難しくなってしまいます。
また、体が体温を調整しにくくても、暑さを感じれば涼しい場所に移動したいと感じたり、エアコンを作動させるといった、体温を下げるための行動をとるものですが、暑さを感じにくい高齢者は、体温を下げようとする行動そのものをとろうと思わないため、結果的に熱中症になってしまいやすいのです。

2つ目に、体内の水分量が少ないことが挙げられます。
高齢者は、若年層よりも体内に保持している水分量が少ないとされていますので、そもそも体内に含まれている水分量が少なければ、体から少しの水分が失われただけで熱中症になりやすくなってしまいます。
体温調節だけでなく、体の老廃物を排出するためにもある程度の水分が必要ですが、「なるべくトイレに通う回数を抑えたい」といった理由で意図的に水分摂取量を控える高齢者も多いのが現状です。

3つ目に、のどの渇きを感じにくいことが挙げられます。
体内の水分が少なくなれば、人間は自然とのどの渇きを感じ、水分を摂取したいと感じるようになります。
しかし、高齢者は体が脱水状態になっていたとしても「のどが渇いた」と感じにくいのです。のどの渇きを感じる機能が低下すると、いつまでたっても脱水状態が解消されず、熱中症を発症するリスクを高めてしまいます。
大量に汗をかくような運動をしていなくても、汗は日常的にかきますし、尿や涙といった生理現象でも常に水分を排出しています。入浴中や睡眠中など、気づかないうちに多くの水分が失われているケースもあります。

この他にも「周囲の人達に迷惑をかけたくない」「夏は暑いものだ」と言って熱中症対策に必要な行動をとらないことで、熱中症を発症してしまう高齢者が多いようです。

熱中症を防ぐ対策は?

いくつかの対策を紹介します。
➢気温や湿度を知る
暑さを自覚しにくいと、熱を逃がす体の反応や暑さ対策の行動が遅れがちになってしまうため気温・湿度計、熱中症計などを活用し、分かりやすい数値を知ることで今いる環境の危険度を把握しましょう。

➢室内を涼しく保つ
日差しのない室内でも、高温多湿や無風の環境下は熱中症の危険が高まります。冷房や除湿機・扇風機などを適度に活用しながら、涼しく風通しの良い環境で過ごすことが大切です。

➢計画的な水分の摂取
のどが渇いたと感じる前に、定期的な水分補給をすることが重要です。キュウリやナスのような水分を多く含む食材を食事に取り入れることも効果的です。

➢入浴、睡眠時も注意を
入浴時や就寝中にも体の水分は失われていき、気付かない間に熱中症にかかってしまうことがあります。入浴前後には十分な水分補給をしたり、就寝時には枕元に水分を置いておく、といった対策をとりましょう。

➢外出時は無理をしない
外出時は、体への負荷が高まることに加え、汗で水分が失われたり、日差しや熱の影響を受けやすくなります。日傘を利用したり風通しのいい服装を着用する他に、外でも水分や休憩を十分にとって体を守りましょう。

少しでも快適に過ごすために

マスクをつけての生活が避けられない昨今、熱中症の危険度はさらに高まります。熱中症を引き起こす原因と対策を知ったうえで、その環境を作らないよう、工夫をすることが大切です。
ここで1つエアコンが苦手な方にもおすすめの対策を紹介します。
それは水を入れてカチカチに凍らせたペットボトルを室内や枕元に置いておくことです。
こうすることで除湿の効果があり、蒸し暑さを少し緩和できるそうですよ。
これはペットボトルの周囲の水分を含んだ空気が冷えることで、気体が液体へと凝縮する際に水分を放出するため湿度が下がるという現象です。
凍ったペットボトルにつく水滴が除湿された水分ですね。

夏本番を迎える前にしっかり対策をしていきましょう!

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