高齢者の未来に夢と希望を|株式会社 愛総合福祉
宮城・仙台エリアの介護現場で働く人にスポットを当てたカイゴビト。
今回は株式会社 愛総合福祉にてエリアマネージャーを務める氏家 聡さんにお話を伺いました。
インタビューは株式会社 愛総合福祉が展開する「愛・グループホーム荒井西」にて実施。愛・グループホーム荒井西が位置する若林区なないろの里は、東日本大震災の後、市が被災者の移転先として選定した新興住宅地です。
防災移転団地や転居者の戸建て住宅、災害公営住宅などが整備されており、2018年の開設から地域の介護を支える一翼を担っています。
それでは、氏家さんのインタビューをお届けします。
Q1.氏家さんの日々の仕事内容を教えてください。
拠点の事業所に関しては利用者さん、スタッフ含む健康状態の管理、確認をしています。この他、ご家族とのやり取りや取引先の対応、空室を埋めるための営業活動も欠かせません。
仙台エリアには荒井西のほか、仙台栗生、仙台東大野田、仙台高砂、富沢と5つのグループホームがあるので、全体のとりまとめや確認といった業務にもあたっています。
Q2.利用者さんと接する時に特に気を付けていることはありますか?
グループホームは、認知症の方が共同生活をおくるための施設であるという特性がありますから、何より「尊厳を守る」ということを大切にしています。
例えば、なんでもかんでも手助けをするのではなく、ご自身でできそうなことはやり遂げるまでそっと見守り、得意なことを生かしながら自信を持っていただけるよう、尊敬の念を持って接しています。
Q3.仕事の中で印象に残っている出来事はありますか?
同居する親御さんの認知症が進行し、自分たちだけではこれからどう対応していいかわからないというギリギリの状態まで耐えてやっと相談に来られたご家族がいらっしゃいました。そういった緊急性のあるケースでスピーディーに入居まで対応できた時にはとても喜んでもらえましたね。
肉体的にも精神的にも疲弊されて困っていたご家族が、ほっと胸をなでおろす姿が印象的でした。
Q4.貴施設の特徴や魅力を教えてください。
清潔感を保ち、職員とお客様が共に楽しみを持って活動していることが施設の魅力だと思います。
実際に、洗濯や掃除、そして毎日のお食事作りも、これまでしてきた普段通りの生活の一連を入居者さんに手伝ってもらいながら、助け合って暮らしています。
先ほど「尊厳を守る」という話もありましたが、できることを役割として持っていただくことで、「誰かの役に立っている」という達成感や「まだまだできる」という自信を感じながら暮らすことにつながるという思いがあります。
また、季節に合わせた果物や野菜が届く機会があるので、おやつとして提供すると喜んでもらえます。この他、仙台市内に系列施設が複数あるので、各所と連携しながら入居に対して柔軟に対応できるところも強みだと思います。
Q5.今後の貴施設の展開はどのようにお考えですか?
集団生活が基本となるグループホームですから、新型コロナウイルス感染症の対策には手を焼きました。感染症法上の位置づけが5類に移行してから1年が経過したこともあり、いよいよ今後はより地域との交流を深め、利用者本人だけでなく認知症のご家族の支えにもなるような、地域に根差した施設になっていきたいです。
介護人材が不足するという今後の状況も見据えて、積極的に海外の人材も取り入れ、体制を整えています。
Q6.最後に、今ご家族の介護と直面している方に向けてメッセージをお願いします。
介護について、一人で悩む、あるいは老老介護で悩む、という方が非常に多いことは、これまでいろんなお客様を見てきて実感しています。
家族間のインフォーマルなサービスにも限界がありますから、フォーマルサービスもうまく取り入れることで、介護する方の生活を守りながらバランスをとっていただければと思います。
※インフォーマルサービスとは、介護保険や医療保険といった形式に捉われるサービスではなく、保険外で行われるサービスのことを指します。家族、友人、近隣住民による生活の手助けなどが該当します。反対に、フォーマルサービスとは公共機関や民間の専門組織、企業などが提供する、制度化されたサービスのことを指します。
今回お伺いした愛・グループホーム荒井西は、新興住宅地の一角にあります。周囲の環境に溶け込むような調和のとれた外観で、敷地内には花壇もありました。
スロープが設置された玄関から中に入ると、施設内の居室は1階と2階に分かれており、それぞれリビングルームやダイニングルームなど、共用スペースが広く取られ、利用者同士、またスタッフとも交流がしやすい環境が整っています。
この日は2階の共用スペースを実際に見学させていただきました。
テーブルを囲みゆったり談笑する方々と、キッチンに立ってお食事の準備をお手伝いされている方がいらっしゃり、皆さんご自身のペースでのびのびと過ごされている様子が分かりました。
日常的に近くの公園へ散歩に行ったり、農業園芸センターなどにも出かけたりするそうです。
今回インタビューにご協力いただいた氏家さんは、新卒から25年ほど介護関連の仕事に携わっているとのことでした。高齢化社会において社会貢献をしたいという思いでこの道に進んだそうです。
介護の仕事について、「介護業界は3Kと言われるように厳しい部分やハラスメントなど改善しなければいけない課題はまだまだあります。AIやロボットの導入も進んでいるものの、最終的には人と人との関わり。あくまでも人がメインの仕事なので、これからも必要とされ続けることをしていきたいです。」という思いを語ってくださいました。
貴重なお話をありがとうございました!