高齢者の便秘

食べる量の低下や食生活の変化、運動機会の減少、内臓機能の衰えによって便秘に悩む高齢者はたくさんいます。慢性的な便秘になると、「お腹が苦しい」「食欲がない」といった症状が出ることもあります。今回はそんな便秘のメカニズムや対処法を解説していきます。

便秘とは?

日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」
慢性便秘症ガイドラインでは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できていない状態」と定義されています。
排便がないことに加え、排便があったとしても残便感(お腹に便が残っている感じがする)がある状態、もしくは直腸内にある糞便を快適に排出できない状態は便秘となります。

高齢者に多い便秘の原因

高齢者の方に多い便秘には、加齢にともなう体のさまざまな機能低下が関係しています。
たとえば「腸の働きの低下」と「便を押し出す力の低下」です。

✅腸の働き低下による弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)

口から摂取した食べ物は、食道を通り、胃、小腸で消化、吸収された後、最終的には大腸にたどり着きます。これは栄養素が吸収された食物の不要部分であり、大腸のぜん動運動(収縮と弛緩を繰り返し、前に押し出す動き)により、やがて便として体外に排出されます。
しかし、年齢を重ねると、筋力の低下や自律神経の乱れなどによって、便が大腸の中に留まりやすくなってしまいます。
このように、腸の筋肉がゴムひものように緩むことで、ぜん動運動が十分に行われずに生じる便秘は弛緩性便秘ともいわれ、高齢の方ややせ型の女性、寝たきりの方などで多いとされています。

✅便を押し出す力の低下

排便は、少しお腹に力を入れて圧力を高めることでスムーズに排便できます。
この動作に関わる筋力も、加齢の影響を受けて低下するため、便を十分に排泄できなくなってしまいます。

食生活によるもの

食事の量や繊維分の摂取が少なくなると、便の量も減り、腸の運動も減少するため便秘の原因になります。便秘になる方に足りない食事の栄養素としては、食物繊維、乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖などが挙げられます。

運動量の低下・筋肉量の減少による便秘

通常は体を動かすによって腸の収縮を促し、ぜん動運動を活性化させています。そのため、高齢になり、運動量が低下すると便秘になりやすくなります。
また、日々の運動量が減ると、排泄するために必要な筋力の維持も難しくなり、併せて便秘の要因となります。

✅便意を感じづらくなる

高齢になると、体の感覚が鈍くなり、直腸に便が貯まったのを関知する機能が低下する傾向があります。そのため、便意が起こりづらく、便秘につながることがあります。

便秘を改善するには?

①適切な排便姿勢にする

排便に適した理想の姿勢は、しゃがんだ姿勢とされています。
これは、しゃがむことで前傾姿勢となり、直腸と肛門がまっすぐになるためです。この姿勢によってさらに肛門を締めつける括約筋(かつやくきん)が緩み、排便しやすくなります。
和式のトイレであれば自然とこの前傾姿勢になりますが、現在広く普及している洋式トイレでは上半身が前傾しにくいため、足元に台を置き、膝をお尻より高く上げるなどの工夫をしてみましょう。

②食生活を改善する

食事を摂取した後のぜん動運動によって便は直腸に運ばれ、のちに便意を催します。
規則正しい時間に食事をとることを心がけ、特に朝食はなるべく食べるようにしましょう。
また、便を柔らかくしたり、便の量を増やしたりする作用を持つ食物繊維を多く含んだ食品を摂取することも重要です。海藻、野菜、果物、きのこなどを積極的に食べるようにしましょう。

③体操など適度に運動する

運動は自律神経のバランスを整え、腸管の働きを調節するメリットがあります。
また、便を押し出すときに必要な腹筋の力が弱くなっていると、十分な腹圧がかけられなくなり便秘につながりますので、適度に筋力を維持できるように運動を心がけましょう。

上記を実践しても便秘が改善されない場合は、病院の医師などに相談するようにしましょう。

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