【介護と仕事を両立するための制度】介護休暇

家族の介護を理由に会社を休むことが増えると、「退職」の文字が頭をよぎることもありますよね。
そんな時、労働者が仕事と介護を両立できるように定められた「介護休暇」「介護休業」「介護休業給付金」という制度があることを覚えておいてください。

知識があれば、会社を辞めないという選択肢も増えますので参考にしていただければと思います。

「介護休暇」と「介護休業」

「介護休暇」と「介護休業」は、どちらも要介護状態の家族を介護するために休みを取得できる、労働者が仕事と介護の両立するための制度です。労働者の権利として法律(育児・介護休業法)で定められています。
介護休暇と介護休業では、「取得できる日数」「賃金・給付金の有無」「申請方法」「制度を利用できる対象者」に違いがあります。
第一回目は介護休暇にフォーカスして解説をしていきます。

介護休暇とは?

「介護休暇」とは、要介護状態の家族を介護するため短期休みを取得できる制度です。会社は業務の繁忙等を理由に、従業員からの申し出を拒むことはできません。(育児介護休業法第16条の5第1項、第16条の6)

対象家族が1人の場合、1年度に5日まで、2人以上の場合は10日まで取得可能です。1日、または半日(1日の所定労働時間の2分の1)単位で取得できます。
休暇の取得理由となる「介護」には、食事や排泄の介助など直接的な介護のみならず、介護保険の手続きやケアマネジャーとの面談といった間接的な介護も含まれます。

※1日の労働時間が4時間以下の場合は半日単位の取得はできません。
※2021年1月1日からは時間単位での取得も可能となりました

介護休暇を取るための条件

介護休暇を取得するにはいくつかの条件があります。

➢介護休暇取得の対象者
要介護状態の対象家族を介護する、雇用期間が6ヶ月以上の全従業員
正社員、パート、アルバイト、契約社員、など雇用形態は不問

※要介護状態
「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」とされています。
次のいずれかに該当していることが条件となります。
(A)介護保険制度の要介護状態区分が「要介護2」以上
(B)次の表の12項目の「状態」のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、その状態が継続すると認められること

➢介護休暇を取ることのできない場合
・日雇い労働者の場合
・以下①~③のような労働者について、労使協定で対象外としている場合
① 雇用期間が6ヶ月未満の場合
② 1週間の所定労働日数が2日以下の場合
③ 半日単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する場合

➢介護が必要な家族との続柄
介護休暇の対象となる家族の続柄には指定の範囲があります。
・配偶者(事実婚の場合を含む)
・父母(養父母を含む)
・子(養子を含む)
・配偶者の父母
・祖父母
・孫
・兄弟姉妹

介護休暇中の賃金は?

休暇中の賃金については法的な定めがありません。
各会社の規定によって対応が変わりますので、就業規則を確認する必要があります。休暇自体は取得できるものの、無給の場合が多いようです。

➢申請方法
介護休暇は会社に対しておこないますので、会社の規則に従って申請します。
所定の用紙が用意されていたり、診断書などの書類が必要な場合もありますので、事前に確認しておくことが重要ですね。

次回は介護休業について、解説していきます。

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