寝たきりの高齢者は要注意!床ずれ(褥瘡)の原因と予防方法

高齢者に多い病気は様々ありますが、「床ずれ」もそのひとつです。
床ずれは医学的には「褥瘡(じょくそう)」とも⾔われ、⻑時間同じ場所が圧迫されたり、摩擦やずれなどが加わることで⽪膚がただれたり、傷ができてしまう症状です。「褥(しとね)」は布団や敷物、「瘡」は傷という意味で、寝たきり以外でも車いすなどで長時間同じ姿勢を続けていることで発生します。
今回はそんな床ずれ、褥瘡の詳しい原因や予防方法をお伝えいたします。

床ずれの原因は?

床ずれは持続的な圧迫が身体に加わることで血のめぐりが悪くなり、皮膚の細胞に必要な酸素や養分が十分に補給されなくなる結果、圧迫されている皮膚の細胞が壊死してしまうことで起きます。
圧力のかかりやすい箇所に起こりやすく、座りっぱなしの場合はお尻付近の尾てい骨や坐骨、あおむけで寝ている場合は臀部のすぐ上にある仙骨や足のかかと、背骨に沿った肩甲骨、ときには後頭部といった骨が突き出た部分に多くみられます。
最初は軽い「赤み」「かゆみ」「痛み」程度ですが、対応を誤ると痛みがどんどん酷くなり「ただれ」「水ぶくれ」「内出血」などの症状が引き起こされます。
悪化すると皮膚のみならず皮下組織や筋肉・骨にまで影響を及ぼし、さらに傷口から細菌が入ると細菌が血液中で増え、中毒症状から高熱や意識障害を起こしてしまう敗血症に罹患するリスクも高まります。

床ずれ(褥瘡)の段階
第1段階
皮膚の表面に、赤みや痛みの症状。
見た目に傷はないものの、皮膚が硬くなったり熱を持つことも。
指で赤くなっている部分を数秒間押して、離したときに赤い状態であれば床ずれの可能性があります。白く戻る場合は床ずれではありません。

第2段階
表皮と真皮の部分欠損の状態。傷が皮膚の下の真皮まで達すると、ただれ、水ぶくれ、分泌物が現れます。

第3段階
皮膚全層欠損。傷が皮下脂肪にまで達して、膿が溜まることがあります。細菌が入り感染を起こす場合もあります。

第4段階
筋肉や骨、神経組織まで及ぶ深い欠損。潰瘍ができて強い痛みが起きます。

予防方法

✅体位変換
床ずれの予防として、こまめに姿勢を変えてあげる「体位変換」が効果的です。 寝たきりになってしまった高齢者は、筋力が衰えて寝返りを打つことも難しくなってしまいます。
寝返りが打てないことでお尻や肩など体の一部に体重がかかり続け、床ずれの原因になってしまうため、定期的に体位(姿勢)を変えてあげることで予防できます。
体位変換の目安は約2時間に1回、できれば「仰向け⇒右向き⇒左向き」と体位を変えてあげるのがいいと言われています。

✅寝間着、寝具の工夫
同じ姿勢でいることに加えて、シーツや寝間着のしわ、縫い目も床ずれの原因になることがあります。
なるべく伸縮性のあるものを使用することが大切です。
また、体圧分散性がよく、寝返りのしやすい寝具を選んだり、圧の状態を変化させる圧力分散型のエアマットなどを使用することも効果的です。福祉用具の専門家に相談してみましょう。

✅皮膚を清潔に保つ
おむつを装着していると発汗や失禁によっておむつの中が蒸れるため、皮膚が柔らかくなり摩擦ずれが起きやすくなります。
こまめに湿り気を拭き取ってあげましょう。
また、季節によって皮膚が乾燥しすぎてしまう場合にも同様に床ずれが生じやすくなるため、その際はクリームなどで保湿を行いましょう。

床ずれ(褥瘡)は一度なってしまうと完治までに長い時間を要します。
予防策を講じて、なるべく床ずれ(褥瘡)にならない環境づくりをすることが重要です。


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