放置すると危険?!高齢者に多いむくみの原因と予防

高齢者に多いむくみの原因と予防

朝起きたときに、手足が膨らんで太くなっていたり、顔がはれぼったくなっていることはありませんか?このようなむくみの症状を医学的には「浮腫(ふしゅ)」といいます。
塩分を多く含む食事をした翌日の一過性のむくみは若い人でもよく見られる光景ですが、高齢者にとっては注意しなければならない症状なのです。
今回のあすてる通信では、このむくみ、浮腫に関しての情報をお届けします。

高齢者に多い足のむくみ

むくみは、全身を循環している静脈やリンパ管の流れの停滞によって、体の一部分に余分な水分や老廃物が溜まってしまうことが主な原因です。

皮膚が膨らんでいる部分を指で数秒押してへこませても、簡単に元に戻らない場合は「むくんでいる状態」と言えます。
体の部位の中でも特にむくみが起こりやすい部分は「足(下肢)」です。

これは、人間が二足歩行であることが影響します。
というのも、水分は重力によって下に溜まりやすく、重力に逆らって足の血液を心臓に戻すことには負担が大きいのです。そのため、体の一番下にある足にむくみの症状が出やすくなってしまいます。

特に高齢者に足のむくみが多い要因として、
✅移動が少なく、座ったまま、寝たままの時間が多い
✅体温調節機能の衰えで体が冷えやすい
✅同様に循環機能、排泄機能、筋力も低下している
✅薬の飲み合わせ
といったものが挙げられます。
中でも、加齢による心肺機能や筋力の低下による血行不良は避けて通れません。

足のむくみ悪化で起こる病気

【下肢静脈瘤】
心臓に戻る血管を静脈と言いますが、足の静脈の逆流を防ぐ弁が正常に機能しなくなることで血液が溜まってしまい、足の血管が蛇行して浮き出ている状態を言います。
急に悪化したり、すぐに命にかかわる症状ではありませんが、むくみやだるさ、こむら返りといった症状を慢性的に引き起こします。
また、老廃物の多い静脈血が足に溜まる状態が長期間続くと、皮膚が炎症を起こして色素沈着したり、最終的には潰瘍になる可能性もあります。

【深部静脈血栓症】
長時間同じ姿勢や窮屈な姿勢をとった結果、下肢が圧迫されることで血流が悪くなり下肢の深部静脈に血栓(血のかたまり)が形成される病気です。

【エコノミークラス症候群】
下肢に血のかたまりができる「血栓症」が起きたとき、この血栓がはがれ、血流にのって肺に到達すると命にかかわる「肺塞栓症」という病気を引き起こすことがあります。
この2つが起きた状態をエコノミークラス症候群と呼びます。

むくみを予防するには?

先ほど挙げたむくみの要因となる項目を改善することが重要です。
ウォーキングや軽い体操を日課に取り入れることは筋肉量のアップや代謝を高めることに繋がります。
また、足のマッサージやストレッチをおこなうことも効果的です。
そして、服装を調整して、身体や手足をなるべく冷やさないようにしましょう。

特に高齢者は、年齢を重ねて慢性的に運動不足であったり、長時間座りっぱなしであまり動かなかったりするような生活習慣の方が多くなります。
足のむくみを放置すると重篤な症状につながる危険性もありますので、注意が必要です。
むくみの症状が長く続いたり、むくみ以外でも血圧の異常や息苦しさ、動悸など体調不良が続く場合は早めに医療機関へ相談しましょう。

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