間食を活用!栄養補給のすすめ

高齢になると、体力の低下とともに食が細くなる傾向にあります。
運動量が減ることに加え、胃や小腸、大腸などの消化器官が衰えていくため、自然なことではありますが、それでも生命の維持に栄養を摂取することは欠かせません。
今回は、そんな高齢者に適した栄養補給について解説していきます。

食が細くなる要因

✅認知機能の低下
認知機能が低下することで、食事の場面において広く影響を及ぼします。食べ物を認識できない、箸や茶碗を上手く使えない、意欲や関心の低下、気分の落ち込みなど、人によってさまざまな症状がありますが、これらも食欲低下の原因の一つです。

✅体内時計の変化
高齢者は体内時計が前倒しにずれてくることがわかっています。睡眠時間が短いことだけではなく、浅眠(眠りが浅い)や中途覚醒(夜中に目が覚める)などによっても、日中に強い眠気がおこることがあります。そのため、朝昼夜すべての食事の時間に覚醒している状態を保つことが難しく、結果、決まった時間に食事をとれないケースもあります。

✅疲労
食事は高齢者にとって疲労が伴うこともあります。自力で食べるときの動作に困難があったり、嚥下機能に障害がある場合は、食事が疲れる行為に感じているかもしれません。

✅視力・味覚・嗅覚など五感の低下
白内障などが原因で食べ物の色がやや黄色味に見えてしまうことがあります。そうすると、食材本来の色がわかりにくくなり、視覚から感じる美味しさが失われます。物の見えにくさも影響し、中が白いお茶碗に、白いご飯やお粥を入れてもはっきりと見えず、残してしまうことがあります。
また、味を感じる細胞の数が減る、嗅覚が落ちるといった加齢に伴う機能低下で塩味や甘味を感じにくくなり、食事が進まなくなることがあります。

✅義歯の装着
入れ歯が合わなかったり、痛みがあると食事をおいしく味わって食べることに支障をきたし、食欲不振や栄養不足の原因になります。義歯に挟まりやすい肉や魚、繊維質の多い野菜の摂取量が減り、食べやすいものだけを摂取するようになりがちです。

高齢者こそ間食を

間食といえばおやつを思い浮かべますが、おやつとはもともと江戸時代の言葉で、午後二時から四時までをあらわす「八つ」を指します。江戸時代中期頃までは食事は一日二食であり、食事の間隔があいていたため、八つ刻(やつどき)に「小昼(こびる)」として間食をしていました。このことから、間食のことを「おやつ」と呼ぶようになりました。

今回は、このような栄養摂取の補助的役割を持つものとしてのおやつを紹介します。
✅牛乳や乳製品(ヨーグルト、チーズなど)
乳製品や卵を使った間食は、タンパク質やカルシウムの補給源となります。
たんぱく質は血や肉となり、元気に動ける骨格筋を支えます。そして、カルシウムは骨や筋肉に必要な栄養素です。

✅果物
ビタミンや亜鉛などのミネラルの摂取は、皮膚の健康や免疫機能など体の調子を整えます。果物そのものや、フルーツゼリー、100%ジュースでもビタミン補給が可能です。

✅おにぎり、サンドイッチ、ふかし芋など
食事に近く、炭水化物でエネルギー補給になります。糖質や脂質は体を動かす原動力です。

✅ドライフルーツ、大学芋・スイートポテト、ところてん、ポップコーン、あんこ
消化を助ける食物繊維を補います。

✅完全栄養食やプロテインなど
必要な栄養素がつまっているので、効率よく栄養を摂取できます。

これらのおやつは通常の食事よりも手軽に、一口大で食べられるのが特徴です。食が細くなりがちな高齢者でも、間食ならおいしく楽しみながら食べられるはずですので、食品の成分表示をよく見て、1日に必要なカロリーと照らし合わせながら適切な量と栄養素を補いましょう。

記事一覧