高齢者がターゲットに!悪質な特殊詐欺

更新日:2024.01.16

振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の被害は、2021年件数1万4000件、被害額278億円余りに上っていて、警察庁は都市部だけでなく地方にも被害が広がっているとして注意を呼びかけています。
この特殊詐欺の被害者に占める高齢者の割合は非常に高く、 80%以上を占めます。特に70歳以上の女性の被害が令和元年度の調査では全体の60.3%という結果でした。
今回は高齢者が気を付けるべき特殊詐欺について解説していきます。

特殊詐欺とは?

電話やショートメッセージなどで面識のない人物に接触して、現金などを騙し取る詐欺です。
令和2年1月1日より、特殊詐欺の手口について以下の10種類に分類されました。

①オレオレ詐欺(振り込め詐欺)

被害者の家族になりすまして、「鞄を置き忘れた。小切手が入っていた。お金が必要だ」などの口実で現金をだまし取る詐欺です。

オレオレ詐欺という呼び名は、その典型的な手口が電話口で「俺だよ俺」と言うことに由来しています。「俺」と言うことで具体的な名前を名乗らなくても親族間なら不自然ではないことにつけこんだ手法です。時には息子、警察、被害者、弁護士など複数の犯人が登場する劇場型という手口も出てきており、より巧妙化されています。

②預貯金詐欺

警察官、銀行協会職員、県や市区町村などの自治体や税務署の職員などの一般的に信用がある職種を名乗り、「あなたの口座が犯罪に利用されています。キャッシュカードの交換手続きが必要です」「医療費などの過払い金があります。こちらで手続きをするのでカードを取りに行きます」などの口実で、暗証番号を聞き出しキャッシュカード等をだまし取る詐欺です。

③架空料金請求詐欺

有料のネットサイト事業者などを名乗る犯人から、インターネットの未納料金が発生しているなどの名目で、携帯電話にショートメッセージ(SMS)が送られたり、法務省や裁判所などの名称で自宅にはがきが送付されることにより、実際には使用していない料金を支払わせようとする詐欺です。

そこに記載された電話番号に連絡すると「払わなければ裁判になる」「今日払えば大半が返金される」など言われ、実際には使用していない、身に覚えのない料金なのに払った方がいいと思い込まされてしまいます。

④還付金詐欺

自治体、税務署、年金事務所の職員などと名乗り、医療費、税金、保険料等について、「還付金があるので手続きしてください」などと言って、お金を受け取れるという内容の電話をかけてきます。そして被害者が犯人の指示でATMを操作すると、被害者の口座から犯人側の口座にお金が振り込まれてしまうという詐欺です。

払い戻しの期限を提示して焦らせた上で、今すぐ携帯電話を持って近くのATMに向かうように、と誘導をしてきます。

⑤融資保証金詐欺

実際には融資しないのに、簡単に融資が受けられると信じ込ませて、融資を申し込んできた人に対し、「保証金が必要です」などと言って金銭等をだまし取る(脅し取る)詐欺です。
メガバンクや大手クレジット会社を名乗り、「信用度を確認するため」「保証金として」「紹介料」など様々な名目で支払いを要求し、口座に金銭を振り込ませて騙し取った上で「やはり信用に欠けるため、融資はできない」などと一方的に告げ、その後連絡が取れなくなります。

⑥金融商品詐欺

金融商品の購入に関して勧誘があり、実在しない商品や、価値が全くない未公開株、高価な物品等について嘘の情報を教えて、購入すれば必ずもうかる、特定の商品について今後必ず値上がりする、と信じ込ませ、その購入代金として金銭等をだまし取る(脅し取る)詐欺です。

⑦ギャンブル詐欺

「 ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺 」とも言われ、「パチンコ・スロットの必勝法を教える」、「宝くじの当選番号を事前に教える」「競馬で必ず勝つ方法を教える」といった各種ギャンブルの必勝法を教える代わりに手数料や情報提供料などの名目でお金を騙し取る詐欺です。
「パチンコの打ち子募集」等と雑誌に掲載したり、メールを送りつけて会員登録等を申し込んできた人に、登録料や情報料として請求するケースが多いようです。

⑧交際あっせん詐欺

異性との交際を持ち掛け、その申込者から紹介料や会員登録料金、保証金などの名目で金銭をだまし取る手口の詐欺です。 「女性紹介」等と雑誌に掲載したり、メールを送りつけ、申し込んできた人に対し詐欺をはたらくケースが多いようです。

⑨その他の特殊詐欺

上記の類型に該当しない特殊詐欺のことをいいます。近年手口が巧妙化し、新しい手法が次々と生まれています。

⑩キャッシュカード詐欺盗(窃盗)

警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を名乗り、「キャッシュカード(銀行口座)が不正に利用されている」「詐欺の犯人を逮捕したら、あなたの個人情報を知っていた」「被害に遭わないように、今すぐキャッシュカードを預かる」「預金を保護する手続をする」など嘘の手続きを説明し、キャッシュカードをすり替えるなどして盗み取る詐欺の手口です。

電話の後に「キャッシュカードを確認しに行く」などの名目で警察官や銀行協会職員等になりすました犯人が自宅を訪れ、被害者の隙をついて、あらかじめ用意しておいた偽のカードと本物のカードをすり替え、暗証番号を聞き出し、被害者が気づかない内に口座から現金を引き出します。

詐欺にあわないためには?

そもそも高齢者が詐欺にあいやすい理由として、昼間ひとりで在宅している時間が多いことが挙げられます。その場に相談できる相手や忠告してくれる相手がおらず、自分の判断だけで行動してしまうため、場合によっては大きな被害につながる危険があるのです。

そして、家族と疎遠である、友人がいない、という方はひとりで過ごしている孤独感から、親切な態度で接してくる、自分のことを心配してくれる、といった電話先の相手に好感を抱いて信用してしまうのです。相手は、そういった高齢者の心理を巧みにつけ込むようなシナリオで電話をかけてきます。

これに加えて加齢に伴いどうしても認知機能が低下してしまうため、詐欺だと見抜くことが難しく、被害に遭いやすくなってしまいます。

そんな高齢者が詐欺の被害に遭わないためには「家族のサポート」が一番重要です。
日ごろから詐欺について話をしておく、家族の中で何か「合言葉」を決めておく、といった対策がよくあげられます。また、常に留守番電話にしておくことで実際のメッセージを録音・確認してから必要な電話のみにかけなおしたり、電話の近くに注意喚起するメモを貼ったりするのも有効です。

詐欺に引っかかることで金銭的にも精神的にも大きなダメージを受けます。これまでコツコツ貯めてきた老後の資金を不当に奪われることがないよう、しっかり対策をしていきましょう。

この記事は、2024年01月16日に更新されました。
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