ひとりで介護を担うワンオペ介護

昨今SNSやメディアにおいてワンオペという言葉をよく耳にするようになりました。
これはもともと飲食店やコンビニなどの深夜、早朝人手が不足する一定の時間帯において、1人の従業員がすべての作業、工程をこなし店舗を回すことを指すワンマンオペレーション、ワンオペレーションの略称です。
近年はこのような店舗以外にも、ワンオペ育児、ワンオペ介護など家庭内でも一人でこなさなければならないタスクがある際に広く使われるようになりました。
今回はワンオペの介護にフォーカスを当て、解説していきます。

ワンオペ介護とは?

おもに兄弟のいない人や、独身の人などがひとりで親の介護を担うことを指します。
少子化の現代において兄弟がいない人が増えていることに加えて、男女ともに生涯未婚率も上昇しています。近親者に頼れる人がいない場合には必然的にひとりで介護するほかなく、ワンオペ介護に陥りやすくなってしまいます。
例えば、介護の実務部分がワンオペだったとしても、もし兄弟がいれば、実際に介護をする人と金銭的な負担を負う人とで役割分担ができるかもしれません。しかしひとりっ子の場合には、介護に加えて経済的な負担もひとりで背負うことになります。

在宅介護では、昼間デイサービスや訪問介護を利用できたとしても、夜間は自分だけでみなければならないため、深夜に徘徊したり、トイレのために何度も起きてしまうと、睡眠不足から体の不調を感じるようになり早退や休みが頻繁になるといった仕事への悪影響が出ることもあります。
精神的にも肉体的にも疲弊して「介護うつ」という状態になってしまうケースもあります。

ひとりでの介護に限界を迎える前に

すべての介護を自分でやらなければ!と気負いすぎず、自治体が提供する介護保険のサービスや制度について理解度を深めることが重要です。
まずは介護の相談窓口となる最寄りの地域包括支援センターを確認し、介護保険サービスを利用するためにはどのような手続きや申請が必要になるのか、その際にかかる費用はいくらくらいなのか相談をするところから始めましょう。

また、仕事をしながらの介護であれば、所属している会社では介護の休業、休暇制度をはじめ時短、フレックスといった制度を使えるか確認しておくと安心です。

在宅での介護ではなく、長期入居できる施設にお願いすることも選択肢の一つになります。地域にどんな施設があるのか、どんな高齢者を受け入れているのか、早いうちから情報収集しておくことをおすすめします。

ワンオペは介護施設でも

前段では家庭内でのワンオペ介護を解説しましたが、実は介護施設においてもワンオペ介護は問題となっています。

介護施設において、2交代制でスタッフをまわしている場合には、夜勤の時間帯はスタッフが1人で対応しなければならない「ワンオペ夜勤」となっていることが少なくありません。
2019年に公表された「介護施設夜勤実態調査」では、2交代制を採用している施設の約6割がワンオペ勤務体制であるという結果も出ています。グループホームや小規模多機能施設など定員の上限が低い小さな施設でこのような状態になっていることが多いようです。

少子高齢化社会において、十分な介護の人材を確保することは難しく、現在は外国人労働者を受け入れたり、一部の作業を機械化する取り組みが行われています。
とはいえ、介護というのはイレギュラーの連続であり人の手を介さない作業には限界があります。
国としても課題となっている分野ですから、今後少しづつ改善されることを願うばかりです。

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