レスパイト休暇

更新日:2024.01.16

レスパイトとは「一時休止」「休息」「息抜き」などを意味する言葉です。
介護においては「介護する側が一時的に介護を離れて、リフレッシュすること」を指します。
つまりレスパイトケアは、在宅介護を担う家族に対し、介護から離れる時間を提供し、心と体を休めてもらうことを目的に実施されている福祉サービスと言えます。
今回はこのレスパイトケアについて詳しく解説していきます。

レスパイトケアの効果

レスパイトケアは、介護を担う家族がリフレッシュすることを目的としていますが、これは介護者だけでなく、介護が必要な高齢者にとっても重要な意味を持っています。
家族に「世話をさせてしまって申し訳ない」といった感情を抱いている高齢者も少なくないからです。
そのため、介護者である家族がレスパイトをその介護の負担を軽減し、在宅介護の継続を可能にする大事な休息となりますし、介護をされる高齢者にとっても家族と離れて過ごす時間を提供し、リフレッシュできるようにサポートする側面があるのです。

レスパイトケアでお互いに離れて過ごす時間を持つことは、高齢者と家族両方の精神的な疲労を解消し、リフレッシュしてもらうことにつながります。

保険適用できるレスパイトケアのサービス

条件を満たすことで医療保険や介護保険の適用を受けて利用できるレスパイトケアのサービスには以下のようなものがあります。

レスパイト入院

近親者の冠婚葬祭や介護者の急な病気、出産、旅行など何か事情があり、一時的に在宅介護が困難になった場合に、医療保険を利用する入院をレスパイト(介護休暇目的)入院と言います。

レスパイト入院をした場合、食事や排せつなどの介助に加えて、必要な医療管理が提供されます。また、体の状態によってはリハビリを受けることもできます。

レスパイト入院を利用する条件

✅介護保険によるショートステイの利用が困難で、在宅療養している方
✅医療的な管理や介助を常時必要としている方
※医療的な管理を常時必要としている方のなかには、人工呼吸器を装着している方や、点滴・胃ろうによる栄養摂取を行っている方などが含まれます。ただし、受け入れ対象となる高齢者の状態については医療機関によって条件が異なるため、事前の確認が必要です。

レスパイト入院が可能な期間は、最長2週間程度が一般的です。入院期間の経過後は自宅などに戻り、これまでの生活を継続する必要があります。

また、レスパイト入院は治療を目的とした入院とは異なるため、血液検査・レントゲン検査などは原則的に実施されません。ただし、医師の判断により必要と判断された場合には、例外として実施されることがあります。

デイサービス(通所介護)

デイサービスとは、介護を必要とする高齢者が日中にデイサービスセンターへ通って受ける介護サービスです。ケアプランに基づいて、介護保険が適用されます。
その日のうちに自宅へ戻るため短時間のレスパイトにはなりますが、ちょっとした用事をスムーズに済ませるなど時間を有効活用できます。

デイサービスでは、入浴や排せつなどの介助や機能訓練、健康チェック、レクリエーションなどが提供されます。また、デイサービスセンターには1名以上の看護職員が常駐するため、医療的なケアを受けることも可能です。

介護保険が適用されるデイサービスを利用するための条件は以下の通りです。

・居宅(自宅もしくは有料老人ホームなどの居室)で生活している方
・要介護認定を受けている方

デイサービスは民間企業によって運営されることが多く、費用やサービス内容は、施設ごとに異なるため事前の確認が必要です。

ショートステイ(短期入所)

ショートステイとは、介護を必要とする高齢者などが、老人短期入所施設や特別養護老人ホームに宿泊するサービスです。食事や入浴、排せつ、更衣、移乗などの介助、機能訓練、レクリエーションなどが提供されます。
介護保険が適用されるショートステイの対象となるのは、居宅で生活しており、要介護認定を受けている方となります。
最短1日から利用でき、最長で30日までの連泊に対応しています。

ショートステイの費用は、基本料金、サービス加算料金、自費負担を合計した金額です。
自費負担分には、介護保険が適用されないので注意してください。

ホームヘルプ(訪問介護)

ホームヘルプとは、訪問介護員等が時間単位で高齢者の自宅を訪問し、食事、排せつ、入浴などの介助や家事などを提供するサービスです。介護保険が適用となるホームヘルプは、居宅で生活し、要介護認定を受けている方が利用できます。

ホームヘルプで提供されるサービスには、身体介護、生活援助、通院等乗降介助の3つに分けられます。

ホームヘルプの費用は、サービス内容と所要時間に応じて決定される仕組みです。居宅で介護サービスを受けられるため、施設に抵抗のある高齢者も抵抗なく利用しやすいサービスと言えます。

ただし、ホームヘルプを長時間利用すると費用がかさみやすいため、1〜2時間程度リフレッシュしたい家族に適したサービスだといえます。

(出典:厚生労働省「各介護サービスについて」

利用時の注意点

高齢者とその家族が、レスパイトケアを効果的に利用できるようにするには、ケアマネジャーの十分な事前説明や準備、適切なサービスの選択が不可欠です。
被介護者と介護者、担当ケアマネージャー間でしっかり情報共有し、レスパイトの意思を伝えるようにしましょう。

また、各種サービスを利用する際には、基本的に事前に予約が必要となります。
希望する施設に空きがなければ別の施設を探すことになりますので、早めに準備を進めましょう。
どうしても介護保険適用施設の予約が取れない場合には、民間企業が提供する有料サービスの利用も検討されます。有料サービスであれば、介護の認定を受けていない高齢者でも、サービスの対象となる可能性があります。

まとめ

介護疲れの限界が来る前に、適度な「レスパイトケア」を定期的に取り入れることは、高齢者と家族が円満に在宅生活を継続するための良い手段となります。
事前にこの制度をある程度理解しておくことで、介護の選択肢が広がります。ぜひ活用してみてくださいね。

この記事は、2024年01月16日に更新されました。
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