高齢者の一人暮らし対策

更新日:2023.09.25

時代の変遷や家族のつながりの希薄化など、様々な要因からひとり暮らしをしている高齢者が増えています。今回は、高齢者の一人暮らしに関する情報をお届けいたします。

高齢者が孤立する背景

一人暮らしの高齢者は男女ともに増加傾向にあり、統計調査が開始された昭和 55年には 65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性 4.3%、女性 11.2%であったものが、令和 2年には男性 15.0%、女性 22.1%へ推移しています。

このように、高齢者のひとり暮らし世帯が増えている原因として、家族の在り方の変化に加え、社会構造の変化や技術の進歩が考えられます。

一昔前までは、家父長制、直系家族、跡取りといった考え方が根付いており、長男は家を継ぐために地元に残るのが当たり前でした。

しかし、時代の流れとともに人々のライフスタイルも大きく変化し、家族への考え方も多様化してきました。拍車をかけるように、産業が都市部に集中化したことも、実家を離れて働く人が増加した一因であると考えられます。

このように、核家族化が進んだことで、子どもが親と離れた地域で生活することは、今や珍しいことではありません。
また、高齢になると、配偶者や兄弟、知人が他界し、孤独化してしまうケースも考えられます。
インターネットや宅配サービスが普及することによって、ある程度は不便のない生活が送れる時代になったものの、家族や友人、住まいの地域社会とのつながりが希薄になり、高齢者が孤立しやすい原因のひとつになっていると考えられます。

高齢者独居の注意点

高齢になると、これまでできていたことでも徐々に体力の衰えや認知機能の低下によって、日常生活に影響が出てきます。そのため、社会とのつながりを持ち、いつでもSOSを発信できる状態であることが重要となります。

たとえば家族関係自体は良好で、いつでも様子を見に行けるような近い場所に居住しているケースであれば、もしものときに頼ることもできます。

一方、家族関係が良好でも、何かあったときにすぐ駆けつけることのできないくらいに離れた場所へ住んでいる場合、近くの親族等へ気にかけてもらえるように根回しをする必要があります。
高齢になると、新しい環境に身を置くことに抵抗が出たり、長年住んだ家や、慣れ親しんだ地域を離れたくない、いまの生活をつづけていきたい、という思いで一人暮らしを選択する高齢者も多くいらっしゃいますので、折り合いがつけられるように話し合いを持つことが重要です。

そして、家族との仲が疎遠になっている場合には、地域の民生委員や行政などとつながりを持っておくことが孤独死を未然に防ぐカギとなります。

また、孤独や不安といった精神的な問題も見過ごせません。
悪質な業者や詐欺グループが、独居の高齢者世帯の財産を狙って、言葉巧みに近づいてくる可能性も高まりますので、注意が必要です。

孤立しないための対策

独居の高齢者は、地域の福祉施設やボランティア活動に参加することで、社交的な場をつくることができます。コミュニティを通して、時には地域に見守ってもらうことも大切です。

また、地域包括支援センター等へ自身の身体状況を相談し、適切な介護認定を受けることで、介護サービスを利用することができます。
デイサービスや通所リハビリテーションなど、自身が生活するうえで必要なサービスをケアマネージャーに相談してみましょう。
独居の維持が難しい場合には、施設へ入居することも一つの選択肢です。

様々な理由から独居以外の選択が難しい場合には、生活環境を整え、安全対策を取ることが大切です。
例えば、転倒を防ぐために床にすべり止めを敷いたり、手すりを設置するなど、けがを未然に防くことができるような住環境を整えましょう。
福祉用具は介護保険を利用することでレンタルできるものもありますし、介護リフォームに対して補助金が出るケースもありますので、有効活用しましょう。

雪の降る地域や、草木の手入れが必要な庭を所有している場合には、その対策を考えておく必要もあります。自立で生活できるぎりぎりまで独居を続けるのではなく、早めの決断も重要です。

この記事は、2023年09月25日に更新されました。
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