選択肢は無限?!多様化する葬儀形式
大切な方がなくなったときに、日本では古くからの慣習でお通夜、葬式、告別式と、故人を偲んで送り出す儀式をおこないますよね。
人間、生きることの延長に死がありますから、必ず誰しも通る道です。
現在、時代の移り変わりや、コロナ禍で葬儀も多様化しています。
今回はそんな葬儀形式の最新事情について解説します。
葬儀形式の一例
✅一般葬
これまで、葬儀は家族や親族の他に、友人、知人、仕事の同僚、近所の人など、一般の人も多く参列して通夜や告別式をおこなうことが主流でした。
多くの方が集まって盛大に送り出すことができる反面、遺族と面識のない人が参列する場合もあるので、しっかりとおもてなしの対応をする必要があり、ゆっくり故人を偲ぶ時間がとりづらいという難点もあります。
このような葬儀形式は、のちに記載する家族葬という形式が生まれたことで、そちらと区別をするために一般葬と呼ばれるようになりました。
✅家族葬
近親者のみの限られた人数だけで行う葬儀です。
儀礼的な弔問などをなくして、家族中心で葬儀を実施します。
近年、都内では実に約60%の方がこの家族葬を選択されているというデータがあります。一般葬に比べ、小規模なので葬儀費用が安く済むことが現代のニーズに合っていると言えます。
実際に家族葬の相場は約50万円程で、 一般葬の相場である約200万円と比較するとかなり価格を抑えることができます。
✅直葬・火葬式
文字通り、火葬と収骨のみをおこなう形式です。
「高齢で亡くなり、知人がほとんどいない」 「親族が少ない」 「最低限の費用で安く済ませたい」 という場合にこの火葬式という選択肢があります。
死亡時に遺族がおこなわなければならないことで、法律として定められているのは役所への届け出と土葬または火葬のみです。(土葬が認められている地域はごく限られているため基本的には火葬となります)
そのため、法的にはそもそも葬儀はなくても問題ありません。
しかし、葬儀をおこなわない場合は故人の遺志であることを周知するなど配慮が必要です。
✅一日葬(ワンデーセレモニー)
首都圏を中心に始まった新たな葬儀形式です。
通常はお通夜から告別式まで2日間でとりおこないますが、通夜はせずに葬儀・告別式のみを一日でおこないます。
通夜、通夜ぶるまいをおこなわない以外は一般葬とほぼ同じ流れです。
✅樹木葬
墓地として認可された山林墓地にお骨を埋葬する形式を指します。
そのほとんどが継承者の必要がない永代供養で、一般的に墓石は作らず、植林や杭、花木などを墓標にします。
やがては自然に土に帰るという「自然への回帰」という点で人気を集めており、 樹木や花木の元で眠りにつき、宗派や家柄に関係なく供養が出来るという点や、親族の不在でお墓の継承を心配しなくても良いという点も人気の理由です。
上記以外にも、「音楽葬」「宇宙葬」など個性的な葬儀も登場しており、まさに葬儀は多様化していると言えます。
その背景には、核家族化、少子高齢化といった社会的要因の他、宗教への関心の薄れとともに合理的、効率的を求めるよう価値観が大きく変わったことも一因にあります。
終活の一環として
これまで、生きている間に自身の葬儀を考えることは縁起が悪く、基本的には亡くなった際に遺族が準備をして執りおこなうものという考えがありました。
しかしそのように大変な思いをして自身の親を送り出してきた世代の方たちから「自分の死後に子供に迷惑をかけたくない」 「自分の希望に沿った形式で葬儀をしたい」 という声も上がり始め、終活の一環として生前に葬儀の仕方を相談する人が増加しています。
今後ますます多様化が進むであろう葬儀形式。
ご自身のことはもちろん、今は健在のご家族とも一度希望する葬儀形式に関して話し合ってみると、その方の思いや信念への理解がより深まるかもしれません。
人生、最期まで悔いなく生きたいですね。