介護にかかる費用はいくら?在宅介護と施設費用の比較
あすてるにご相談いただく方は、様々な理由や事情から施設への入居を検討されます。
その中でも、在宅介護を続けてきたものの、要介護度が上がったり、認知症が進行して、肉体的にも精神的にもこれ以上は限界だと感じ、施設への入居を検討される方が少なくありません。
とはいえ、施設へ入居させるとなると、どうしても気になるのは費用の負担ですよね。
そこで今回は介護にかかる費用と、在宅と施設利用ではどのくらい違うのか?という点で見ていきます。
在宅介護にかかる費用は月平均5万円
在宅介護にかかる平均費用は、要介護度によって変わってきますが、平均すると月5万円くらいというデータがあります。
(公益財団法人 家計経済研究所 「在宅介護のお金と負担2016年調査」結果)
内訳はデイケア・デイサービスやホームヘルパーなど「介護保険サービス」の利用にかかる平均が1万6,000円、おむつ代や家事支援代行、送迎などの「介護保険サービス以外」にかかる費用が3万4,000円となっています。
※介護保険サービスについては過去記事「介護保険制度の現状を学ぼう」 https://magazine.ustell.jp/archives/685 をご覧ください。
介護保険サービスは、要介護度別に月額の支給限度額が決まっており、限度額の範囲内であれば、基本的に介護保険サービスの自己負担は1割ですが、介護保険サービス以外にかかる費用は全額自己負担になります。
月平均額は5万円ですが、要介護度が高くなればその分自分でできることが少なくなり、介護サービスを利用する機会も多くなるため、かかる費用も高くなります。
また、在宅介護を始める時には、自宅で介護しやすいように壁に手すりをつけたり段差をなくしたりするリフォーム、介護用のベッドや車いすの購入など、一時的な出費も大きくなります。
介護にかかる期間は?
公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる期間は平均4年7か月(54.5か月)となっています。
こちらも要介護度や介護される方の年齢にもよるので、10年以上介護が必要になる場合もあります。
在宅介護の場合、かかる平均費用は?
上で見てきた平均月額と平均期間の単純計算で求めると、
5万円×54.5ヶ月=272.5万円
となります。
もし10年にわたり介護が必要になった場合は、倍の545万円が必要になります。
老人ホームと比較すると?
老人ホームにもいくつか種類がありますが、今回は下の3つの施設を例に出してみます。公的な施設である特別養護老人ホームと、民間の施設である有料老人ホームでは大きな違いがありますね。
施設の種類 | 月額料金平均 | 10年間入居した際の費用 |
---|---|---|
有料老人ホーム | 20万円~25万円 | 2400万円~3000万円 |
サービス付き高齢者住宅 | 15万円~20万円 | 1800万円~2400万円 |
特別養護老人ホーム | 7万円~15万円 | 840万円~1800万円 |
在宅介護は費用面では安いが、介護者の負担が大きい
このように見てみると、やはり在宅で介護する方が、施設へ入居させるよりは安く済むことが分かります。
しかし、介護する家族は介護のプロではありませんし、仕事や育児、家事と両立しながら24時間体制で介護しなければいけない状況は、大変な負担になります。
介護者が体調を崩してしまったり、介護離職をすれば、収入も減って経済的に厳しい状況になることも考えられます。
そうなる前には以前紹介した、1日単位で利用できるショートステイ制度なども活用し、介護するご家族も時間的拘束やストレスをため込まず、うまくリフレッシュしながら介護と向き合っていく必要がありますね。
過去記事「在宅介護を支援するショートステイ制度」
https://magazine.ustell.jp/archives/942
無理なく介護を続けられる方法を
自宅で過ごしたい、というご本人の意思を尊重することは大切です。ご家族が在宅で介護できる環境であればいいですが、5年~10年以上に及ぶかもしれない介護生活をご家族だけで続けるのは難しくなる時もくると思います。
経済的なコストだけで在宅介護を選択するのではなく、年金額や貯蓄と相談し、予算にあった施設への入居も視野にいれ、ご家族もご本人も、お互いが納得し無理のない介護ができるといいですね。