免許返納後はどうする?高齢者の移動手段

更新日:2024.04.18

昨今高齢者が運転する自動車事故の悲しいニュースをよく耳にします。
これは高齢になると筋力の衰えや判断力の低下など自動車の操作に支障が出る結果、事故率が高くなってしまうからと考えられます。
とはいえ身体能力は個人差が大きいため、何歳以上は運転禁止!と一律で制限することも難しいですよね。
また、人によっては移動手段として自動車が必須の事情があると免許返納もためらってしまう方が多い現状です。

しかし、国や自治体は高齢者の生活を支えるため、さまざまな施策でサポートしています。今回はそんな高齢者の移動手段について、解説していきます。

免許返納後の特典・割引

高齢、居住環境の変化等の理由でまだ有効期限が残っている免許証を自主的に返納できる制度(申請による免許取り消し)があります。
自主返納する際には以後の本人確認としても有効な運転経歴証明書を発行することができます。
この証明書を提示することで、宮城県では県内タクシー協会加盟各社のタクシー料金が1割引となります。また自治体ごとにそれぞれの施策でタクシーやバスの割引券などを追加で配布しているようです。

仙台市においてはそもそも市内に居住の70歳以上の方については市バス、地下鉄、宮城交通バス乗車の際に利用する敬老乗車券を交付しています。これは1,000円のチャージにつき100円(※介護保険料所得段階に応じて50円)の利用者負担額をいただくもので、割安で公共交通機関を利用することができるサービスです。

交通機関以外にも運転経歴証明書を提示することで提携デパートやスーパーで大きな買い物をした際に配送料金を割引したり、自動車売却時のキャッシュバックや、温泉・宿泊施設の割引といった特典を設けている自治体もあります。
自身の住んでいる自治体の特典はぜひ確認しておきましょう。

高齢者とタクシー

高齢者が頻繁に利用する交通手段にタクシーが挙げられますが、その中で福祉タクシー、介護タクシーといった存在もあります。

福祉タクシーは、道路運送法第3条における「一般乗用旅客運送事業(福祉輸送事業限定)」のことを指します。
一般のタクシーと福祉タクシーとの違いは、「高齢者や障がいをもつ人、身体の不自由な人を対象としていること」「車椅子やストレッチャーのまま乗車できる福祉車両であること」が挙げられます。

福祉タクシーは「福祉車両での移送」をサービスとして提供しますが、利用者の介助そのものはおこなわないため、ドライバーに「介護職員初任者研修」の取得は義務付けられていません。
また、利用は介護保険の適用外となります。

一方介護タクシーは訪問介護サービスにおける「通院等のための乗車または降車の介助をおこなう福祉車両の通称として知られています。
こちらはドライバーに「介護職員初任者研修」の取得が義務付けられています。
このサービス利用には介護保険が適用されますが、目的は「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」に限られます。
保険適用となる対象者は、自宅、有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などで生活していて、1人でバスや電車などの公共交通機関に乗ることができない要介護1~5の方で、「要支援」区分の方は利用できませんので注意が必要です。
また、介護タクシーの料金は主に「タクシーの運賃+介助料+車椅子、ストレッチャーなど介護機器のレンタル料金」で計算されますが、介護保険が適用できるのは介助料の部分のみで、実際の運賃や介護機器レンタル費用は実費となります。

このように、高齢者の移動手段は自治体や介護保険制度によってさまざまなサポートを受けることができます。
高齢のご家族を持つ方や、認知機能の低下に自覚を持ち始めた方はしっかりとその状況に向き合い、早めの選択をすることが重要です。

この記事は、2024年04月18日に更新されました。
記事一覧